地上波のアニメに出たり、コンシューマーゲームに出たりする声優になるには、声優の養成所、専門学校に通うことがいちばんの近道と言われています。
どこで学ぶかを決めていくなかで、週1回、短時間のレッスンであることから、仕事や学校との両立がしやすい日ナレを選ぶ人も多いのではないでしょうか。
しかし、日ナレは誰でも入れるわけではありません。
日ナレで演技を学んでいくためには、まずはじめに「入所審査」をクリアしていかなければならないのです。
本日は、日ナレの入所審査について詳しくお伝えしていこうと思います。
日ナレにおける入所審査とは
先ほどもお伝えしたとおり、日ナレに入るためには入所審査をクリアする必要があります。
書類を送れば、誰でも入れるというわけではありません。
日ナレの入所審査では、演技の勉強をしていくための基本的な学力や、自己表現力などを問われます。
入所審査が行われる時期は、何月に入所するかによって異なりますが、4月入所の場合は12月~1月ごろに行われます。
おそらく、入所時期の3~4ヶ月前に行われる場合が多いでしょう。
1年に1回しか受けられないというわけではありませんが、自分が行きたいタイミングに入所するためにも、資料請求は早めに行っておくのがおすすめです。
日ナレ入所審査の内容と対策
それでは、日ナレの入所審査では、具体的に何をするのかを見ていきましょう。
日ナレの入所審査で行われるのは、筆記審査と実技審査の二種類。
これらふたつは同日に行い、筆記審査が終わってすぐに実技審査に移ります。
筆記試験と実技試験の間で、教室を移動することはありません。
また、ひとつの教室に15~20人程度が集まって審査を行いますので、個別で審査するわけではない。
筆記審査
筆記審査とは、文字通りペーパーテストですね。
学校で受けるテストのようなものをイメージしていただければと思います。
漢字の読みや四字熟語、本の著者を答えるなど、国語の問題が出題されます。
国語の問題、と聞いてドキッとする方もいるかもしれませんが、そこまで難しいものではありません。漢字の読みは、中学卒業程度のレベルです。
高校生で日ナレに通っている人もいるので、高校卒業レベルの学力は問われません。
中学校での授業を真面目に受けていれば、まず問題ないでしょう。
ちなみに、筆者は高校時代に漢検2級を取りましたが、漢字の読みや四字熟語などは難なくクリアしました。
ですが、漢字が苦手という方は漢検を受けるなど、準備をしておいたほうがいいかもしれません。準2級、2級があればまず大丈夫といえるでしょう。
筆記審査ではほかに、作文を書く場合もあります。
内容は年によって異なる可能性がありますが、「どんな声優になりたいか」というテーマで作文を書いた、との話も。ちなみに筆者が受けた入所審査でも、このテーマでした。
実技審査
筆記審査が終わると、今度は実技審査に移ります。
実際に声を出すので、当日までに喉の調子は整えておきましょう。活舌を良くするために、朝に声出しをしておくのも効果的です。
実技審査では、30秒から1分程度の自己PR、それから台本読みをします。
自己PRでは、自分はどんな演技に自信があるのか、どんな声優になりたいか、話す内容は人それぞれです。
ネットで「自己PR 内容」などと検索をすれば例文も出てくるので、それらを組み合わせて、オリジナリティのある自己PRをしてみましょう。
オーソドックスで無難な内容でももちろん構いませんが、少々変わった内容のほうが、印象に残りやすいことも…。
ただ、どんな内容を話すにしても、当日その場で思いついたことを話していると時間オーバーになったり、時間が余り過ぎたりしやすいです。
あらかじめ言いたいことを決めて、時間内におさめられるように練習しておくと良いでしょう。
自己PRは1分でも30秒でも、どちらでも対応できるように練習しておきましょう。
次に台本読みですが、ここで使う台本は10行程度の短いものです。実技審査がスタートする直前に配布されますので、自分で用意する必要はありません。
さて、気になる台本の内容ですが、入所審査が行われた年によって異なる場合が多いようです。
ただ、これから入所審査を受けるにあたって大切にしてほしいのが、登場人物の感情、距離感、会話している相手との関係性などをしっかり読み取ること。
感情を込めて読むのはもちろんですが、登場人物どうしがどのような距離感で会話をしているのかにより、声の大きさや出し方が変わります。
また、友人に話しかけるときの声と、学校の先輩や職場の上司に話しかけるときの声では、微妙に高さや出し方も変わってくるものです。
普段の会話から、そのあたりを意識して聞いてみるといいでしょう。
そしてもうひとつ大切なのは、恥ずかしがらずに思いっきり演技をすること!
誰だって本番では緊張してしまうものですが、大きな声で堂々と演技をしたほうが、審査する相手の印象に残りやすいものですよ。
自己PRと台本読みが終わると、質疑応答に移ります。
聞かれることは、自己PRを踏まえた内容であることが多いです。
ほかにも長所と短所、声優を志したきっかけなどを聞かれたときに、すらすらと答えられるように対策しておけば安心でしょう。
ただ、あらかじめ準備をしていたとしても、本番では緊張して、頭が真っ白になってしまうことも。
15人程度ではありますが、入所審査当日は複数人の前で自己表現をする必要があります。あがりやすい人は、何かしら対策しておきましょう。
安心できる香りがついたものを持っていく(強い匂いには注意!)、お守りを持っていく、などでも良いと思います。
日ナレ入所審査の倍率や合格率はどれくらい?
入所審査の内容は以上ですが、気になるのはその合格率ですよね。
実は、日ナレの入所審査の合格率は、明確に公表されていません。
ご参考までに、筆者がどうだったかについてお話していきましょう。
筆者は、筆記審査の際に、いくつか解けない問題がありました。
漢字の読みや四字熟語などは問題なかったのですが、本の作者を答える問題がもともと苦手で、筆記審査の答えも自信がありません。
実技審査に関しても、自己アピールは10秒ほど時間を余らせてしまい、質疑応答では答えに詰まったこともありました。
しかし、自宅に届いた審査結果は「合格」。
筆者のまわりで日ナレを受けた人についても、「落ちた」という話を聞いたことがありません。
ただ、連絡もなしに入所審査に遅刻したり、入所審査そのものをドタキャンしたり、審査当日、まわりの人に迷惑をかけるなどの問題行動などの非常識な行動があれば、もしかしたら審査に落ちることもあるのかもしれませんね。
おそらく、ある程度の学力と一般的な常識が身についていれば、大丈夫なのではないでしょうか。
だからといって油断せずに、真剣に全力で審査に挑みましょう!
何事も、対策しておくに越したことはないですよ。
最後に
いかがだったでしょうか。
地上波やコンシューマーゲームで活躍する声優になるには、声優の専門学校に通ったり、養成所に通ったりするのがいちばんの近道だと言えます。
日ナレも入所審査を乗り越えなければ入ることはできません。
自分の思い描いた夢に近づくために、全力で挑みましょう。
ただ、ガチガチに緊張しすぎても思わぬ失敗を招きかねません。
自信を持って入所審査に挑むには、しっかりと対策することが必要不可欠。
この記事が、日ナレの入所審査に不安がある方にとって、少しでも参考になれば幸いです。

高校生の頃に声優に憧れ、日ナレを卒業後、大手声優事務所の声優として活動中。これまでアニメの声優やナレーションなど様々な仕事を経験。