演技の練習を一人でやろうと思ったときに、どうやればいいかわからない人も多いと思います。
私も俳優を始めたての頃はよくわからず、レッスンに参加した方がいいのかな?けどお金が高いし、、、それなら友達とできないかな?など色々と頭を悩ませていました。
それと同時に、早く演技が上手くならなければ、、、という焦りもあったと思います。
今回はこれまで俳優を10年以上してきた私が、演技の練習方法について書いていきたいと思います。
演技の練習をする方法
自分で好きなドラマのワンシーンを演じる
1人で演技の練習をする方法としてまずは自分で好きなドラマのワンシーンを演じてみましょう。
自分の好きなドラマのシーンを演じることで楽しくできますし、モチベーションも上がりやすくなると思います。
また、自分が目指している俳優さんや出てみたいドラマなどがある場合は、その俳優さんが出ているドラマや映画、もしくは自分が出てみたい作品の演技をやってみることで、自分の理想としている俳優や女優像に近づくことができるかと思います。
ただし、好きなドラマや映画のワンシーンばかり練習していると、自然と同じような演技ばかりになってしまうので、演技の幅を増やす意味でもある程度やったら次は系統の違う作品のシーンから選ぶようにしてみましょう。
ドラマについても、恋愛ものやコメディ、シリアスなものまで様々です。
またシーンについても同じようなシーンばかりではなく、笑うシーン、怒るシーン、泣くシーンなど様々なものを練習しましょう。
また、一人でこのように演技の練習を行う場合、どこでやるかというのが問題になってきます。
演技の練習をやる場合はどうしても声を出さなければいけないため、声を出せる環境でなければなりません。
家に自分しかいない場合は問題ありませんが、実家など家族と住んでいる場合はカラオケで行うなど工夫が必要になります。
演技をやったことがない人は、まずは1人で演技の練習をしてみて、ある程度自信がついてきたら、外部のレッスンに通ってみたりオーディションに参加してみると良いでしょう。
レッスンなどに通う
レッスンなどに通って演技の練習を行うのも有効な手段です。
というよりお金がかかっても問題なければ、一人でやるより確実に実力は付きます。
演技の練習は1人でやっていてもなかなか続かないですし、一人でやるのと実際に相手がいて芝居をするのでは全然違います。
演技というのは相手の芝居を受けて自分がどう反応するかが重要です。
1人よがりの演技は意味がありません。
上手い演技というのは相手の芝居によって、自分の演技が変化することです。
また一人の時はスラスラセリフが言えたとしても、実際に相手がいて芝居をするときはびっくりするくらいセリフが飛びます。
(これはやってみるとわかります)
そして人前でやるということも重要です。
実際のオーディションや現場では当然カメラや人がたくさん見ているわけですからその緊張感に慣れておく必要もあります。
また、客観的な視点で講師からアドバイスをもらえるのは自分の演技力向上に大きく役立つはずです。
ただし最初はレッスンに行くのがなかなかハードルが高い、、、という人もいるでしょう。
そういう場合はまずは一人でやったり友達とやったりしてある程度演技に自信がついてから通ってみるといいと思います。
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仕事を通じて身につける
3つ目の方法は、仕事を通じて身につけるという方法です。
上の2つと比べると急に実践的な感じがしますが、正直これが一番力がつきます。
スポーツなどでも実践の試合が一番力がついたりしますよね?
演技も同じです。
実際の仕事を通じてしか身につかないことがたくさんあります。
練習は所詮練習です。
実際の仕事ではその場の監督の指示で、意図を汲み取り柔軟に演技を変えていく必要があります。
またカメラ位置などを意識した演技もしなければなりませんし、客観的に自分を見る必要があります。
こういったものは練習では身につきません。
正直、仕事をこなしながら、仕事を通じてのみ演技力を磨いていくでも全然いいと思います。
自分の場合はそれがベストだと気づきました。
もちろん仕事がなければ他の方法でやるしかありませんが、演技力を身につけてから仕事、ではなく仕事をどんどんこなしていきながら演技力を身につけていくほうが、総合的にみて自分の力がつくことは明らかです。
オーディションにたくさん参加する
最後はオーディションにたくさん参加して演技を身につけるです。
上の3つに比べると、練習としては補助的になりますがオーディションにたくさん参加することも演技力の向上にとても役立ちます。
なぜかというと、当日まで演技内容の詳細がわからないことが多く、また誰とやるかもわからないからです。
1人でやる場合やレッスンなどで演技をやる場合は事前にどんなものをやるのかがわかっていてしっかり準備できる場合が多いですが、オーディションではどんな演技をやるのかわからず、台本も当日渡される場合が多くあります。
そして相手役の人も演技が凄く上手い人もいれば初心者の場合もあり様々です。
こうしたその場で状況に応じて臨機応変に芝居をしていく力はオーディションでも現場でも必要になりますし、これらは一人の練習やレッスンではなかなか身につきません。
オーディションを通じてこうした演技力を身につけ、さらにオーディションに受かる力を身につけることができます。
オーディションに参加することで落ちても演技力は身につき、受かれば仕事が決まるので参加しない理由はありません。
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演技の練習に使う台本について
演技の練習に使う台本については、演技の練習をどのように行うかによって変わってきますが、ドラマのワンシーンなどを使って練習する場合はドラマを見て自分で台本を作りましょう。
一方で、どこかから台本を入手して使いたい場合や演劇の作品のものを使用したい場合はいくつか方法があります。
①ネット上で公開されている演劇の台本を使う
一つ目の方法は、ネット上に公開されている劇団作品の台本を使う方法です。
無料でかつ簡単に手に入り、しかも有名な作品のものも多いので一番おすすめの方法です。
つかこうへい劇団やキャラメルボックスなどは有名な劇団です。
また、柿食う客の中屋敷法仁さんの作品なんかも面白いです。
劇団 | HP |
つかこうへい演劇館 | つかこうへい演劇館HPへ |
キャラメルボックス | キャラメルボックスHPへ |
柿食う客 | 柿食う客HPへ |
アマヤドリ | アマヤドリHPへ |
中野劇団 | 中野劇団HPへ |
②図書館で演劇の台本を探す
図書館には演劇の台本が多数あります。
大体の図書館では無料で貸し出しできるので、お金がかからず台本を入手することができます。
ただし、図書館は場所によって蔵書数が全然違うのでなるべく大きな図書館の方が台本の種類も豊富でおすすめです。
③本屋で台本を探す
最後は本屋さんで演劇の台本を探す方法です。
今の時代はAmazonなども活用できますし、大きな書店にいけば色んな台本が売られています。
一度本屋さんに足を運んでみて、気になる台本があれば手に取ってみましょう。
演技が上手くなるコツ
感情の入れ方
演技力の身につけ方の一番のポイントは感情の入れ方、つまりなりきることです。
例えば怒るシーンがあったときに、そのシーンになったらとりあえず思い切り怒る、ではダメです。
自分がそのシーンを演じている中で、自然と怒りの感情が湧いてきた結果、怒らないとダメなんです。
そのシーンまで来た時に、大した感情が動いていないのに、とりあえず怒るシーンだから怒った演技をする、では役に入り込めていません。
見る側にも伝わります。
芝居の中で役に入り込み、自然と湧いてきた感情で演技ができなければいけません。
なかなか難しいですが、せめて練習ではそれを意識して芝居ができるようにしましょう。
芝居を用意しない
2つ目は芝居を用意しないことです。
1つ目とも関連しますが、よくありがちなのはあらかじめ台本を見て、ここはこういう演技をしよう、とかここではこういう風に言おう、など芝居を用意してくることです。
普段の友達との会話で、あらかじめこういう風に言おう、とかここで笑おう、とか決めてないですよね?
芝居でも同じです。
その時の相手の言動や行動によって自分の感情が動き、それに応じた芝居ができなければなりません。
芝居を用意するということは、相手の反応を無視しているのと同じです。
覚えておくのはセリフだけで、それ以外はその場の素直な感情に従って芝居ができるようにしておきましょう。
求められているものを意識する
最後は、求められているものを意識するということです。
ドラマの撮影にしてもオーディションにしても、監督や審査員が必ずいます。
自分がこうだ!と思った演技をしても、それが監督や審査員の求めているものと違えばそれは不正解です。
作品作りというのは絶対的な正解はなく、監督が良いと思ったものが正解なんです。
その時その時で、監督などの指示をよく聞き求められているものを察知して、それにあった演技を柔軟にできるのが本当に良い役者だと思います。
セリフや台本の覚え方
セリフの覚え方
役者をやっていく上で一番最初にぶつかる壁がセリフを覚えることです。
私も最初はセリフがなかなか覚えられず、とても苦労しました。
台本を見ないで詰まらずセリフが言えるようにすることは、演技をする上では大前提です。
セリフに不安を覚えながらやっているうちは演技が上手い下手以前の問題です。
セリフは100回やったら100回必ず言えるように準備していきましょう。
手順として、まず最初は①何も見ないでセリフが完全に言えるようになることです。
完全に覚えるのは自分のセリフだけで良いですが、相手のセリフもある程度把握していないと、どのタイミングで自分のセリフを言えばいいかわからなくなるので、セリフを覚えるときに相手のセリフにも目を通しておくことは必要です。
ここはもう気合で覚えるしかないので、何回も読み込んで覚えて下さい。
ちなみに覚える際のポイントとしては、なるべく棒読みで覚えること。
なぜなら覚えるときに抑揚などを自分なりに付けて覚えてしまうと、いざ芝居になったときにその通りに演技してしまうからです。
本来芝居は、その時の相手の反応や状況などに応じて、自分のセリフの言い方が変わるべきものです。
ちょっと初心者にはまだ早いポイントかもしれませんが、頭の片隅には入れておいてください。
何も見ずにセリフが完全に言えるようになったら次は②相手役のセリフなどを誰かに言ってもらいながら、自分のセリフの練習をしましょう。
誰かに頼んでやるのがベストですが、頼める人がいなければ相手役のセリフをスマホのボイスレコーダーなどで録音して、代用しましょう。
私はセリフの練習を一人でしているときはよくこれを活用しました。
これで電車の中など声を出せない環境でも、イヤホンで聞きながら練習できます。
こうすることで、相手のどのセリフを言い終わった後に自分のどのセリフを言うのか、実際に練習ができます。
それが終わったら最後に③動きをつけながらやっていきましょう。
これも2つ目と同じで実際に誰かに相手役を頼んで、やってもらいましょう。
頼む人がいなければボイスレコーダーです。
動きをつけてやってみる、というのは必ず行ってみて下さい。
やってみたらわかりますが、動きをつけながらやってみるとびっくりするほどセリフが出てこなくなります。
なぜなら動きに意識を取られてしまうからです。
1人で座りながら集中してセリフを思い出すのと、動きをつけながらスラスラセリフが出てくるようになるのにはだいぶ差があります。
セリフを覚えるコツ
①ボイスレコーダーを活用する
一つ目は上記でも書きましたが、ボイスレコーダーを活用することです。
紙の台本だけで練習していると、自分のセリフはちゃんと覚えても実際に演技をするときに自分のセリフを言うタイミングを間違えてしまいます。
相手のどのセリフの後に自分のどのセリフが来るのか、それをしっかり練習しておくためにもボイスレコーダーを活用しましょう。
またボイスレコーダーであれば、電車の移動中などすきま時間を活用して練習することもできます。
②演技中相手のセリフをよく聞いて演技する
これは演技中でのコツですが、お芝居をしている最中に相手のセリフをちゃんと聞くことです。
演技をやり始めてよくありがちなのは、自分のセリフを言おう言おうとして自分に集中してしまい相手のセリフをちゃんと聞いていないことです。
セリフというのは文脈でつながっているので、相手のセリフをよく聞いていれば自然と自分のセリフが出てくるようになります。
思い出そうとして自分に集中してしまう方がかえってセリフが出てこなくなってしまいます。
これは哀川翔さんが武井壮さんにアドバイスしたときも同じことを言っていたそうです。
相手のセリフを聞くようにしたほうがセリフも出てくるし、自然な演技もできるようになります。
③ひたすら繰り返す(気合い)
あとはひらすら繰り返して覚えること(気合い)です。
これは勉強と同じです。
本気でお芝居がやりたいのであれば、あとはもう頑張るしかないです。
演技が上手くなるためにやっておいた方が良いこと
映画やドラマをたくさん見る
映画やドラマをたくさん見て、自分の演技の参考にしましょう。
自分が演技をやり始めると、それまでなんとなく見ていたドラマや映画の見方が変わり、細かい演技を集中してみるようになります。
そして演技が下手な方が主演のドラマなどは見る気が起きなくなります(笑)
自分の場合は山田孝之さんや藤原竜也さん、満島ひかりさんなどを中心に見ていました。
ちなみに演劇を見る方法としてめちゃくちゃ良いサービスがあります。
それは下記の演劇動画見放題サービスです。
全国376劇団1291作品以上を配信中(2019.09現在)で、演劇動画サービスとしては日本一の登録数です。
これを月額950円で全て家で見れてしまうんですから、良い時代になりましたね、、、。
下記から飛んだページの右上から新規登録をして、利用できます。
定期プラン(クレジットカード決済)がおすすめ。
自分が苦手な演技もやってみる
自分がやりたい演技、得意な演技ばかりではなく、それ以外の演技も積極的にやっていきましょう。
演技が偏ってしまうと、仕事の幅が狭くなってしまいます。
自分のキャラを活かしてそれを強みにしていくのは良いですが、他の演技もできるに越したことはありませんしオーディションなどではどんな演技をやらされるかわかりません。
色んな演技を練習しておくようにしましょう。
動画で自分を撮影しながらやる
演技の練習をするときは必ず、動画で自分を撮影しながらやるようにしましょう。
動画で自分を客観的に見てみるとわかることがたくさんあります。
顔の表情、姿勢、動き方、など人からの見え方がリアルにわかります。
今は手軽にスマホで撮影できますから、一人の時も必ず動画で撮影して自分の演技をチェックしてみて下さい。
演技の練習に役立つ本
最後に、私が実際に読んでいた演技に役立つ本を紹介します。
俳優の仕事 第一部: 俳優教育システム
言わずと知れた名著です。
名優スタニスラフスキーが作り上げた俳優教育法〈システム〉の全貌が明らかになる本です。
俳優を目指し始めたころに読んでいて、モチベーションを上げるには最高の本です。
ちょっとお値段は高いですがそれだけ希少価値がありいまだに売れている本です。
魂の演技レッスン22 〜輝く俳優になりなさい!
ステラアドラーの本。
演技関連の本は非常に有名で、俳優を志す人であれば一度は読んでおいた良い本です。
まとめ:練習を工夫しながら演技をする機会を増やそう
演技の練習には色々な方法がありますが、一人でやれることもあれば他の人とやれることもあります。
レッスンなどに通うとお金もかかりますが、なるべく自分で工夫しながら演技の練習を続けていきましょう。
どうやったら上手くなるのか?をひたすら考えながら、練習を欠かさない事が大事です。
皆さんが役者として成功することを心から願っています。

これまで5年以上大手芸能事務所にて、俳優、モデルを中心に活動。
出演はドラマ、映画、雑誌、CM、再現VTR、など多数。
芸能界のリアルな話や売れるためのぶっちゃけ話を中心に書いていきます。