日本でも最難関資格と言われる司法試験や司法予備試験。
これから受験してみようかなと思った人はどのくらい難しいのか、もしくは独学で合格することは可能なのか、気になる方も多いと思います。
今回は実際に予備試験および司法試験に合格した私が司法試験および予備試験は独学で合格することは可能なのか?ということについて紹介していきたいと思います。
司法試験とは
司法試験とは弁護士、検察官、裁判官といった法曹になるための資格です。
日本でも最難関と言われる司法試験はまず受験するために法科大学院(ロースクール)を卒業するか、もしくは司法予備試験に合格する必要があります。
なお法科大学院(ロースクール)は通常の3年かけて卒業する未修者コースと2年で卒業できる(既修者コース)に分かれます。
ちなみに下記が法科大学院を修了して司法試験を受験した人と予備試験を合格して司法試験を受験した人の合格データです(令和2年)。
受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
法科大学院修了 | 3280人 | 1072人 | 32.68% |
予備試験合格者 | 423人 | 378人 | 89.36% |
これを見ていただくとわかるとおり、圧倒的に予備試験合格者の合格率が高いことがわかります。
理由としてはそもそも予備試験自体が合格するのが難しく合格率3~4%の難関試験となっているからです。
よって司法試験はまず受験資格を得るまでが非常に時間がかかり大変であることがわかります。
司法予備試験とは
一方、上記で説明した通り司法予備試験とは法科大学院(ロースクール)卒業にかわって司法試験の受験資格を得るために必要な試験です。
2年や3年かけて法科大学院(ロースクール)に通う必要がないためお金もかかりませんしこちらのルートの方が特に社会人などには人気ですが、合格率3~4%の非常に難関ルートになっています。
難関である一番の理由は受験者数に対して合格者数が少ないこと(合格率が低い)が挙げられます。
令和2年の試験では出願者数が15,318人に対し、合格者が442名でした。
司法予備試験は大学の学部生や法科大学院に在学中の学生も受験してくるため非常に受験者数が多いです。
合格してしまえば法科大学院に行く必要がないですし、就職にも有利なため予備試験を狙う人が多くなっています。
司法試験・予備試験で独学の合格は無理なのか?
それでは早速、司法試験および司法予備試験の独学での合格について合格者である私が見解を述べていきたいと思います。
まず独学で合格できるの?ってことですが、、、「合格はできるけどすべきではない」というのが私の意見です。
理由としてはまず独学よりも予備校を使った方が確実に早く合格できるというのがあります。
というのも司法試験や予備試験はどの資格試験よりも効率がものを言う試験だと感じました。
まだ勉強したことがない方にとってはイメージがつきにくいかもしれません。
まず司法試験や予備試験の特徴はその勉強量の多さです。
憲法、刑法、民法、行政法、商法(会社法)、刑事訴訟法、民事訴訟法の基本科目7科目と選択科目が1つあります。
大学受験か!ってくらい科目が多く勉強量が多いです。
また、試験は短答試験と論文試験がありますが、この論文試験がヤマになってきます。
短答試験は知識優位なので勉強して知識を詰め込んでいくしかありませんが、論文試験はしっかりと効率よく勉強しないと合格点に達することはできません。
予備試験では①短答試験→②論文試験→③口述試験の順で試験が行われそれぞれで合格点に達していないと次の試験に行けませんが、各試験の合格率はおよそ①短答試験(20%)→②論文試験(20%)→③口述試験(90%)です。
つまり論文試験は短答試験で受かった20%の人のうち20%しか受かりませんから全体の4%しか受かりません。
ここが最大のヤマとなっています。
論文試験では多くの論点を正確に理解し、正しく記述しなければなりません。
当然論点の量も膨大なわけですが、これを独学で一つ一つ丁寧にこなしていては気の遠くなるような勉強時間が必要になってきます。
一方、予備校の講義やテキストでは論点ごとにランク付けなどもされていて重要論点に重きを置いた効率的な学習に自然となっています。
意外と勘違いしている人が多いのですが、合格するために論点を全て覚えていなければいけないわけではありません。
重要論点のみしっかりおさえておけば合格点には十分達することができるのです。
実際に予備試験の論文試験の合格点は満点の半分以下の点数となっています。
つまり膨大な時間をかけてすべての論点を覚えるより、重要な論点のみに絞ってそれらをしっかり書けるようにしておけば十分合格することはできるのです。
皆さんも満点を取ることが目標ではなく合格点にいち早く達することが目的のはずですよね。
独学の場合はどこが重要論点か自分で判断することはできないはずです。
私の友人で実際に独学で勉強を始めて(最終的には論文試験だけ単発で予備校の講座を受講した)予備試験と司法試験に合格した人がいますが、私が司法試験の勉強を始めると言った際にその友人から絶対に最初から予備校使った方がいいよ!と言われました。
その友人は結局、5年以上かかって合格することができましたが(それでも早い方だと思う)予備校を初めから使っていればあと2年は早く合格できた、と言っていました。
理由は上記の通りです。
また独学だと基本的には基本書や参考書などを買って読み進めなければいけないため特に初学者にとっては理解ができず時間がかかってしまうことが挙げられます。
実際に私は経済学部出身で法律の勉強は初めてでしたが予備校を使っていたおかげで理解しながら勉強を進めることができました。
これが独学で自分でただ本を読みながらの勉強だと理解できずに倍以上の時間がかかっていたと思います。
しかもひたすら本を読みながらだとモチベーションも続かないでしょうし、、、。
あとは自分で参考書を揃えたりする手間も省けますし、結果的に予備校を使うことでかなり時間は短縮できたと思います。
合理的に考えてみると、予備校を使うことでお金はかかりますが合格までの期間は確実に短縮できます。
おそらく独学と比較して2年は短縮できるとすると予備校は50万円くらいから受講できるところもありますから、50万円で2年という期間を買うと考えることができますよね。
ちなみに50万円という費用が払えない!という方もいると思いますが、私も当時貯金が10万円しかなかったのでクレジットカードで24回払いにしました。
そうすれば月2~3万円の返済で支払えます。
弁護士になってしまえば1年目からでも年収500万円は超えますし大手だと1000万円を超えます。
だとすると50万円の費用など数か月で元が取れます。
つまりたかが50万円をケチって独学するより1年でも早く弁護士になってしまった方がはるかに合理的だと思います。
これらの理由から「独学で合格はできないことはないがすべきではない」というのが私の見解です。
司法試験における予備校の必要性とは
司法試験・予備試験の独学の難易度は?
司法試験・予備試験の独学の合格率は?
司法試験および予備試験の独学での合格率はどのくらいなのでしょうか?
これは正確な統計があるわけではないのでわかりませんが、少なくとも私の周りで完全な独学(最初から最後まで予備校を一切使わない)で合格したという人は聞いたことがありません。
おそらくほとんどいないのではないかと思います。
しかし私の友人もそうであったように最初は独学で勉強を進めていって、論文対策の段階で予備校を使って受かったという人はいます。
ただその友人も最初から予備校を使っていればあと2年は早く合格できたと後悔していたので最初から予備校を使う方が合格率が上がるのは言うまでもありません。
法学部出身なら独学での合格も可能か?
法学部出身で大学である程度法律の勉強をしてきたという方であれば、完全な初学者の方よりも可能性はあるかもしれません。
しかし結局は初学者の人よりも少しだけスタートラインが進んでいるだけで、根本的に独学で合格するのは難しいと思います。
特に論文試験などは独学だけではかなり難しいと思います。
いずれにしても独学の方が遠回りである分時間がかかります。
理系でも独学合格はできる?
これも上記の話と同じで理系だからどうということではありません。
私もそうでしたが文系でも法学部でなければ理系の人と何も変わりません。
むしろ司法試験は論理的な思考能力が問われるので理系の方の方が得意だと思います。
高卒でも独学合格はできる?
高卒でも関係ありません。
司法試験の受験資格を得るための司法予備試験は誰でも受けることができます。
法律を学んだことがなければ0からのスタートになりますが、それは法学部以外の大学生でも一緒です。
ただ司法試験や予備試験を独学で突破するにはかなりの時間と忍耐力、そして頭の良さが必要ですが、、、(笑)
司法試験・予備試験の独学での勉強時間は?
独学だと合格までどのくらいの期間(何年)がかかるのか?
もちろん一概には言えませんが、これまで司法試験の勉強をやってきた感想として独学では最低でも10,000時間程度はかかると思います。
10,000時間というと、一日10時間やったとしても3年以上かかる計算になります。
もちろん一日も休まずに10時間やり続けるのは色んな意味で不可能でしょうから、実際には5年以上はかかると思います。
というか5年でも合格はたぶん厳しい。
私の周りで独学のみで5年で受かったという人は聞いたことがありません。
(独学+論文のみ予備校パターンで一番早い人で5年)
やはり学習の効率化という観点で、独学での勉強となると基本は参考書を買って自分で読み進めていかなければなりません。
わからないところがあっても自分でいちいち調べたり、六法で条文を探して調べたりする必要がでてきます。
また論文試験で出やすい重要論点や頻出内容などが独学では判別できないため結局全ての範囲を網羅的にやる必要が出てきます。
一方予備校であれば、動画講義で理解もしやすいですし重要論点や大事なところなどを絞って勉強できるため効率化が図れます。
また論証集のようなものも付属されているため論文試験で書かなければいけない(暗記しなければいけない)文章がまとめられています。
他にも、段階的に解くべき問題が用意されていて何をどういう順番でやればいいか全てロードマップ形式で示されているので効率化という観点ではベストです。
予備校では2,000時間で予備試験を合格できるカリキュラムが組まれているのでその通りに学習できれば独学よりもかなり短期間で合格することが可能です。
2,000時間であれば1年での合格もだいぶ現実的になります。
独学1年で合格は可能か?
上記でも述べた通り独学の1年合格はまず不可能です。
そんな人は聞いたことがありません(笑)
というかそもそも完全に独学でやり切ったという人自体聞いたことがありませんが、、、。
予備校を使った場合であれば1年合格も可能性はあります。
予備校を使った場合の2,000時間のカリキュラムであれば1年でやれないことはない数字です。
司法試験・予備試験を独学で突破するポイント
ここまで司法試験や予備試験は独学ではなく予備校を使うべきと述べてきましたが、それでも独学がいい!という方のために独学で合格するためのポイントを説明していこうと思います。
まずは①効率よくやることです。
これまでもさんざん述べてきましたが司法試験や予備試験はとにかく量が多くて期間も長期化します。
2000時間で受かる人もいれば10,000時間かかっても受からない人がいるのも事実です。
これだけの差が生まれるのはやはり勉強効率の差だと思います。
前の段落でも述べましたが論文試験などの論点において全ての論点や判例などを暗記するのではなく、重要論点に絞って効率的に勉強していくことが大事です。
またわからないところなどを変に深追いしすぎて勉強してもいつまで経っても終わりません。
あくまで最短で試験に合格する、ということを常に念頭におき効率よく学習していくことが大事です。
どういった参考書などを使えば良いか、どういった勉強法でやっていけばいいか、どの知識や論点をおさえればいいかなど常に意識しながら勉強しましょう。
あまり重要ではない論点に時間を使っている余裕はないはずです。
そして2つ目は②継続することです。
モチベーションを維持することと言い換えてもいいかもしれません。
独学でやる場合の最大の敵は自分です。
私は今まで様々な資格を独学で勉強して取得してきました。
予備校を受講してみてわかったのですが、予備校を使うとそれなりの金額のお金を払っているので途中で勉強を辞めずらくなります(笑)
50万円払ったのにここでやめたら勿体ない、、、という気持ちが良い意味で作用します。
独学であればいつでもやめれるしさぼれるのでこの影響は思ったより大きいなあという感じがしました。
同じ予備校仲間とかがいるとなおさらです。
また勉強自体も独学の場合はひたすら自分で参考書を読んで進めていかなければならないので勉強自体が単調になりとても苦痛です。
予備校であれば通信講座などであっても動画講義を楽しく見れますし、カリキュラムが決められているのでここまでやったという達成感的なものもあります。
勉強において一番大事なのは自分の気持ちと戦い継続することです。
司法試験・予備試験における独学の勉強法ついて
独学での勉強法について紹介していきます。
まずポイントは2つで①どういう順番で勉強していくかという事と②テキストはどうするか、の2つです。
①どういう流れ(順番)で勉強していくか
まず司法試験および予備試験を勉強する際に、科目をどういう順番で勉強していくかというのが大事になってきます。
順番としては下記の順番でやって下さい。
①憲法→②刑法→③民法→④行政法→⑤商法(会社法)→⑥民事訴訟法→⑦刑事訴訟法
なぜ順番が重要なのかと言うと、例えば商法(会社法)は民法をもとにできているので民法を学習してからの方が理解しやすいからです。
同じように行政法も憲法を勉強してから勉強すべきです。
民事訴訟法や刑事訴訟法は訴訟の流れを勉強していく科目なので、それぞれ民法や刑法を勉強してから学習するようにしましょう。
②テキストはどうするか
1から独学で学習する場合、どのテキストを使うかということも自分で決めなくてはいけません。
一度決めたテキストはなるべく変えないのがベストです。
途中であれもこれもテキストを変えて手を出すのは効率が悪いです。
なるべく優しい、自分が理解しやすいテキストを選ぶようにしましょう。
個人的には伊藤真の「試験対策講座シリーズ」がわかりやすそうでいいと思います。
司法試験・予備試験を社会人が独学で目指すことについて
司法試験および予備試験を独学で目指そうと考えている社会人の方もいるかと思います。
とくに学生であれば法科大学院(ロースクール)に行くという選択肢もあるので法科大学院で勉強することもできますが、社会人の場合は予備試験経由の方が多いと思います。
そうなると予備校を使って勉強するか独学で勉強をすることになります。
実際に私も社会人でありながら予備試験と司法試験を目指していた身なので社会人の方が予備試験と司法試験を独学で目指すことについて書いていきます。
まず社会人は学生に比べて圧倒的に時間がありませんから絶対に独学ではなく予備校を使って勉強すべきです。
独学で時間をかけて勉強している暇はありません。
予備校を使って1日でも早く試験に合格すべきです。
予備校は安いところだと50万円程度で受講することができます。
私の独学で合格した友人も言っていましたが、予備校を使えばあと2年は早く合格できた!と言っていました。
弁護士になれば年収500万円は最低でも超えるでしょうから、50万円などすぐに取り返せます。
つまり独学でお金をかけない選択をするよりも、予備校を使って1年でも早く弁護士になって稼ぐ方が確実に合理的です。
私はクレジットカードで24回払いにして月2~3万円払って予備校を使いました。
社会人で独学で勉強をしながら合格を目指すというのはどう考えても得策とは言えません。
それでもどうしても独学で、という方は上記でも述べた通り最大限効率を意識して頑張るしかありません。
社会人には時間がない、ということを意識して勉強に取り組みましょう。
予備試験に社会人で合格は無理?
司法試験・予備試験のおすすめの予備校について
最後に僕も実際に受講し、予備試験→司法試験とあわせて3年で合格することができたおすすめの予備校について。
一番のおすすめは資格スクエアという予備校です。
おすすめの理由など詳細については下記の記事などで書いているので興味があったら読んでみて下さい。
簡単に説明すると資格スクエアがおすすめな理由としては圧倒的なコスパと1年で予備試験に合格できるよう効率化されたカリキュラムです。
大手の伊藤塾などは予備試験合格コースで大体130万円ほどかかりますが資格スクエアは50万ほどで受講できます。
また大手予備校では予備試験は通常2年で勉強を終えるようカリキュラムが組まれていますが、資格スクエアでは最短合格を目指した効率的なカリキュラムで1年で終えるよう設計されています。
僕が資格スクエアを選んだのもすでに司法試験に受かっている友人から予備校なら絶対資格スクエアがいいよ!とおすすめされたからでした。
実際に予備試験合格者の3人に1人はこの資格スクエアを受講しています。
予備試験や司法試験合格までの過程(カリキュラム)や勉強法が今はここまで定型化されているのか、と感心したので予備校の受講を考えている人はおすすめです。
資格スクエアについて詳しく
おすすめの予備校ランキング
まとめ:独学も不可能ではないが、、、
独学での予備試験および司法試験の合格は不可能ではないが予備校を使って1年でも早く合格すべきです。
予備校の費用と勉強している時間を考えるとお金を払って早く合格する方が人生にとってはるかにプラスで合理的です。
どうしても予備校を使うお金を捻出できない、という人以外は予備校を使ってさっさと合格してしまいましょう。

司法予備試験→司法試験に合格。現在は法律事務所にて新人弁護士として活動してます。僕が通っていた司法試験予備校について紹介していきます。